こんなお悩みはありませんか?
- ✓赤ちゃんのアザが急に大きくなってきて心配
- ✓「自然に消える」と聞いたけど本当に放置してOK?
- ✓薬やレーザーが怖い・どちらを選べばいいかわからない
- ✓跡が残らないか、副作用が心配
乳児血管腫(苺状血管腫)とは?まず知っておきたい基本
乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)は、赤ちゃんの皮膚に現れる赤色・隆起した良性の血管腫瘍です。「苺状血管腫(いちごじょうけっかんしゅ)」とも呼ばれており、新生児の3〜10%程度に見られます。
発症のパターンはある程度決まっており、生後数週間〜数か月で急速に大きくなる「増殖期」を経て、その後は成長が止まり、1〜5歳にかけてゆっくり退縮していくのが一般的な経過です。悪性ではありませんが、退縮後に瘢痕(きずあと)や色素の変化、皮膚のたるみが残ることがあります。
また、お子さんに乳児血管腫が見つかったとき、「妊娠中に何かしたせいかも」と感じる保護者の方もいらっしゃいますが、現在の医学ではお母さんの妊娠中の行動・食事・ストレスとは関係がないとされています。ご自分を責める必要はありません。
治療が必要かどうかは、発生部位・大きさ・増殖の速さ・機能への影響(目・鼻・口などに近い場合)によって異なります。2022年版の日本皮膚科学会ガイドラインでも、経過観察・薬物療法・レーザー治療・外科手術の4つの選択肢が示されており、個々の状態に応じて組み合わせることが推奨されています。
このページでは、特に保護者の方からご質問が多い「ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール)」と「VビームⅡレーザー」の2つの治療法について、仕組み・適応・副作用・使い分けをわかりやすく解説します。
まずは受診だけでも構いません。お一人で悩まず、気軽にご相談ください。
ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール)とは?
ヘマンジオルシロップ®は、一般名:プロプラノロール塩酸塩を乳児血管腫の治療用に製剤化した内服薬(飲み薬)です。製造販売元はマルホ株式会社で、2016年9月に日本で乳児血管腫への適応が承認された保険診療薬です。
プロプラノロールの仕組み
プロプラノロールは「βブロッカー(β受容体遮断薬)」と呼ばれる種類の薬です。もともとは心臓や血圧の治療薬として使われていましたが、乳児血管腫への有効性が確認されたことで適応が広がりました。
乳児血管腫に対する主な作用は以下のとおりです。
- 血管収縮作用:血管腫内の異常な血管を収縮させ、赤みが薄れる
- 増殖抑制作用:血管腫の成長を促すVEGF(血管内皮増殖因子)の働きを抑える
- 細胞死の誘導:異常に増殖した血管内皮細胞のアポトーシス(自然な細胞死)を促進する
これらの作用が重なることで、血管腫の急速な増大を抑え、早期の退縮を助ける効果が期待できます。ただし、効果には個人差があります。
適応と開始時期
ヘマンジオルシロップが適応となるのは、主に増殖期にある乳児血管腫です。ガイドラインでは生後5週〜5か月未満の間に開始することが原則とされており、増殖が最も活発な時期に介入することで高い効果が期待できます。
特に以下のようなケースでは、早期の薬物療法が検討されます。
- 急速に大きくなっている
- 目・鼻・口・耳などの機能に影響する部位にある
- 潰瘍化や出血を繰り返している
- 大きくなると瘢痕が残るリスクが高いと判断される
一方、小さく目立たない部位の乳児血管腫で退縮が見込める場合は、まず経過観察やレーザー治療が選択されることもあります。
入院での導入が原則の理由
ヘマンジオルシロップの投与開始は、原則として入院環境下で行う必要があります。これは、投与後に心拍数(脈拍)や血圧、血糖値が大きく変動するリスクがあり、モニタリングが不可欠なためです。そのため、当院単独での内服開始は対応しておらず、専門病院へのご紹介が必要になります。
投与期間は通常6か月以上となり、徐々に量を調整しながら継続されます。専門医・小児科医との連携が重要な治療です。
主な副作用と注意点
βブロッカーであるプロプラノロールには、以下の副作用が知られています。投与中は定期的な診察とモニタリングが必要です。
- 徐脈・低血圧:心拍数・血圧が下がることがある
- 低血糖:特に空腹時・哺乳の間隔が長い場合に注意
- 気管支痙攣:喘息や気道過敏のある赤ちゃんには使いにくいことがある
- 睡眠障害・不機嫌:睡眠が浅くなったり、ぐずりが増えることがある
これらは必ず全員に起こるものではありませんが、症状が現れた際にはすぐに処方医に連絡することが大切です。服薬中は食事のタイミングにも注意が必要で、哺乳と合わせて飲ませることで低血糖リスクを下げることができます(詳しくは処方医の指示に従ってください)。
VビームⅡレーザーとは?乳児血管腫への保険適用治療
当院が導入しているVビームⅡ(米国シネロンキャンデラ社製)は、パルス色素レーザー(PDL:Pulsed Dye Laser)と呼ばれる種類のレーザー機器です。乳児血管腫(苺状血管腫)への照射は健康保険が適用され、吹田市・豊中市・箕面市・池田市・高槻市・茨木市・大阪市などにお住まいのお子さんはこども医療費助成により、自己負担が約500円となります。
詳しくは当院のアザ・血管腫治療ページもあわせてご覧ください。
VビームⅡの仕組み
VビームⅡは約595nmの波長の光を照射します。この波長は血液中のヘモグロビン(赤色の成分)に選択的に吸収されるため、周囲の正常な皮膚にダメージを与えずに、血管腫内の毛細血管だけを収縮・破壊することが期待できます。
照射の流れと開始時期
VビームⅡによる乳児血管腫の治療は、首が据わる生後3〜4か月以降から照射が可能です。照射前には麻酔シールまたは麻酔クリームを患部に塗布して痛みを和らげます(痛みの感じ方には個人差があります)。照射間隔は3か月以上空けて繰り返し行うのが保険診療のルールです。
主な副作用
VビームⅡの照射後には、以下の副作用が起こることがあります。
- 紫斑(内出血のような青紫色の変色):照射後に一時的に現れることがある(数週間で消退することが多い)
- 水疱(水ぶくれ):まれに生じることがある
- 炎症後色素沈着:照射部位が一時的に茶色くなることがある
- 瘢痕(きずあと):ごくまれに生じる可能性がある
副作用が気になる際は遠慮なくご相談ください。
ヘマンジオルシロップとVビームⅡの使い分け・併用について
乳児血管腫の治療では、「薬か、レーザーか」という二択ではなく、お子さんの状態に合わせた組み合わせが重要です。以下の表を参考にご覧ください。
| 状況の例 | 考えられる治療の方向性 |
|---|---|
| 小さく、機能への影響なし、退縮が見込める | 経過観察 / VビームⅡレーザー |
| 急速に大きくなっている、顔面・目や鼻の近くにある | ヘマンジオルシロップ(専門病院紹介) |
| 薬で増殖を抑えた後、残った赤みや色調の改善 | VビームⅡレーザーとの併用 |
| 退縮後に色調・毛細血管拡張が残っている | VビームⅡレーザー |
ヘマンジオルシロップとVビームⅡは互いに補完し合う関係にあります。典型的な併用パターンとしては、①まず薬物療法で増殖期の血管腫の拡大を抑え、②薬の投与終了後や退縮期に残った赤みや色調をVビームⅡで改善する、という流れがあります。ただし、どの治療が適切かは個々の症例によって大きく異なります。
当院でできること・専門病院への紹介について
江坂駅前花ふさ皮ふ科でできること
- 乳児血管腫の診断・経過観察
- VビームⅡレーザー照射(保険診療、こども医療費助成対応)
- アトピー・湿疹など他の皮膚疾患も同時に相談可能
- ヘマンジオルシロップが必要と判断した場合の専門病院へのご紹介
- 薬物療法後の維持・レーザー治療の継続フォロー
専門病院への紹介が必要なケース
ヘマンジオルシロップの入院導入・内服処方は当院単独では対応できません。以下のようなお子さんには、小児科・形成外科・皮膚科の専門病院をご紹介します。安心してご相談ください。
- 増殖が急速で、薬物療法の早期開始が必要と思われる
- 目・鼻・口など機能に影響しうる部位にある大きな血管腫
- 潰瘍化・出血を繰り返している
- 心臓や呼吸器の基礎疾患があり、薬の適応を専門医に確認したい
受診から治療開始までの流れ
当院では、まず一般皮膚科の外来でお子さんの状態を診察します。乳児血管腫の治療は保険診療ですので、美容皮膚科ではなく一般皮膚科の予約からお申し込みください。
- ① WEB予約(一般皮膚科)→ 受診・診察
- ② 乳児血管腫と診断 → 治療方針の説明(経過観察 / VビームⅡ / 専門病院紹介)
- ③ VビームⅡ適応の場合 → 次回照射日を予約(3か月以上の間隔で継続)
- ④ 必要に応じて専門病院と連携しながら経過フォロー
江坂駅徒歩1分のアクセスで、ベビーカーでもお越しいただけます。お子さんの肌の状態が気になる方は、一度受診いただくことをおすすめします。
江坂駅前花ふさ皮ふ科にご相談ください
乳児血管腫(苺状血管腫)は、「自然に消えるから大丈夫」と言われることもありますが、急速に大きくなっているときや、顔・目の近くにできているときは早めの受診・治療判断が大切です。一方で、すべての血管腫が積極的な治療を必要とするわけでもありません。経過観察でよいのか、VビームⅡレーザーが必要か、ヘマンジオルシロップの専門病院紹介が必要かを、皮膚科専門医が丁寧に判断いたします。
「うちの子の場合はどうすればいい?」と迷っている方も、まずは診察にいらしてください。アトピーや湿疹など、他の肌トラブルも同時にご相談いただけます。
お一人で悩まず、まずはお気軽に受診のご予約をどうぞ。
