監修者
理事長:花房崇明
(はなふさ たかあき)
[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院)
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本アレルギー学会アレルギー専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・難病指定医

[ 所属学会 ]

日本皮膚科学会
・日本アレルギー学会
・日本小児皮膚科学会
・日本抗加齢医学会
・日本美容皮膚科学会

 

今回は蕁麻疹が出る原因について解説していきます。

蕁麻疹で受診される患者さんは多く、身近な病気です。

突然症状が現れるため、びっくりされる患者さんもいらっしゃいます。

蕁麻疹が出る原因や蕁麻疹の種類について説明します。

1.蕁麻疹とは?

 

 突然に、境界がはっきりした、痒みを伴う、皮膚の一部が盛り上がった発赤(膨疹と言います)が出現し、全身どこにでも発生します。

一つ一つの膨疹は通常数時間~24時間以内に跡形も無く消えます

膨疹の形は円形、楕円形、線状など様々でそれが繋がって地図状になることもあります。

2.蕁麻疹の種類は?

 麻疹の症状がどれくらいの期間続いているかで急性蕁麻疹慢性蕁麻疹に分けられます。

症状が6週間未満で治まるものは急性蕁麻疹とされています。6週間以上続いているものを慢性蕁麻疹といいます。 

3.蕁麻疹の原因は?

 ここから本題に入りますが、結論から申し上げますと実は蕁麻疹の大部分(70~80%程度)は原因不明と考えられています。1) 
多くの方は、蕁麻疹が出ると何かアレルギーが起こったのかな?と心配されますが、
実は特定のアレルギーによって起こる蕁麻疹の方が、原因不明の蕁麻疹よりも少ないのです。
一般的に急性蕁麻疹では風邪などのウイルス感染、ストレスが契機となって発症することが多いです。 
しかし、そのなかでも原因や特徴が比較的はっきりしている蕁麻疹には以下のようなものがあります。

 

  1. 物理性蕁麻疹
    物理的刺激摩擦、寒冷・温熱刺激、日光など)によって生じる蕁麻疹を言います。
    摩擦による刺激で生じる蕁麻疹は、機械性蕁麻疹と言ったりもしますが、
    摩擦を受けた部位に一致して膨疹が出現することが特徴です。 

  2. 接触蕁麻疹
    皮膚や粘膜に物質が接触して数分~数十分後に蕁麻疹を生じるものです。
    ラテックスアレルギー(天然ゴムを使用した製品に含まれるラテックスに対するアレルギー)が代表的です。

  3. アレルギー性蕁麻疹
    食べ物や薬剤、昆虫(ハチなど)等に含まれる物質に反応して起こる蕁麻疹をいいます。
    IgEという血液中の抗体が関与しています。このIgEの値は血液検査で調べることができます。

  4. コリン性蕁麻疹
    運動や入浴などで体温が上昇し、発汗するような状態になったとき、3~5mm程度の小さい膨疹が出現することが特徴です。
    発汗障害を伴うこともあります。
    痒みだけでなくチクチクとした痛みを感じることがあります
    自分の汗に対するアレルギーが関与しているのではないかと考えられています。
     

4.内臓の病気ではないの?

一部では、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、胃炎などがあって蕁麻疹が起こりやすくなっていることがあります。

また、膠原病、血管炎などのように、全身の病気の一症状として蕁麻疹が現れていることもあります。

しかしほとんどの蕁麻疹は内臓の病気とは関係ありません

蕁麻疹以外の気になる症状がある場合は医師に伝えるようにしましょう。

5.蕁麻疹は治るの?

 治療に関してはこちらをご覧ください。

まずは抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の飲み薬を用いて治療しますが、合う薬の種類、量は人によって全く異なります。

ストレスをなるべく溜めないようにしたり、体が温まる長風呂や運動、アルコールの摂取を控えることも大切です

急に体中に赤い発疹が出ることを繰り返したり、蕁麻疹かな?と思った場合には気軽に受診し相談してください 

 

蕁麻疹について動画でも解説しております。

1)Giménez-Arnau, A., Maurer, M., Weller, K., Magerl, M., & Marsland, A. M. (2015). Chronic spontaneous urticaria: Latest developments in aetiology,
diagnosis and therapy. British Journal of Dermatology, 172(4), 867–878.